2021.08.17

 本はだれに望まれるものなのでしょうか。今日は、そんなことを考えていました。

 もちろん、読みたい人に望まれているのでしょうけれど、それが本そのものの価値だとは思えません。


 たくさんの人に世瞬舎の本を知ってもらいたいけれど、いっぽうで望まれない場所に無理やり出ていかせるのは双方にとってよくない、とも考えてしまいます。たとえば図書館への寄贈なども検討していましたが、逆に迷惑な場合もある、との話も聞きます。


 ひとつの答えらしきものはぼんやりと浮かんでいて、おそらく本は、物語に望まれているのだと思います。そこに綴じられた物語を、未来へと運んでいくためです。翻っては人(人類?)のためとも言えるけれど、あまり「ため」とか「価値」とか言い過ぎると、それそのものが価値になってしまいます。

 そこに本があるから、物語は世界の流れに乗る、とだけ言えばいいのでしょうか。

 するとこの事業が僕自身の生活費を稼ぐためである意味もなくなるし、ほんとうに僕という生活者の存在はじゃまだなともたまに感じていて。矛盾をはらんだまま今日も仕事に取り組みます。


 もう少し考えを深めていきたいです。なにができるだろう。


世瞬舎 Seishun-Sha

2020年に開設したちいさな出版社です。文芸書籍中心に制作、販売を行っています。名前の由来は「永遠と瞬間」。

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